【デクスメデトミジン】まるで自然の睡眠!? 鎮静薬の救世主

麻酔

皆さんは脊髄くも膜下麻酔管理中に使用する鎮静薬は何ですか?

やはり最近は『プレセデックス®︎』と答える人が多くなっているのではないでしょうか

特にこれを読んでいる方々は麻酔科歴がまだそんなに長くないでしょうから、なおさらですよね

今回は『デックス』ことデクスメデトミジンについてお話ししていきたいと思います

薬物生理

初っ端本筋からズレてしまいますが、

実はデクスメデトミジンは鎮静の他にもいくつか作用があります

鎮痛作用や末梢血管の収縮作用もあります

これらいくつかの作用がある理由は、

デクスメデトミジンがα2受容体刺激薬だからです

まずは主の目的である鎮静作用について、

これはα2A受容体を刺激することで得られる作用です

このα2A受容体はいくつかの場所に存在します

その場所によって働きが違うのですが、鎮静作用は脳橋背側にあるα2A受容体を刺激すると起こります

プロポフォールはGABA受容体に作用するため、ここが睡眠の質に差が出る原因になります

「呼べば目が覚める」がデクスメデトミジンのキャッチコピーであるように、

どんなにしっかり寝ていてる様子でも、呼べば起きるのです

このニュアンスは実際の睡眠に近い眠りですよね

現に機序はとても似ているのです

呼吸抑制が少ないこともこれが理由になります

α2A受容体は他にも脊髄や延髄に存在します

脊髄にあるα2A受容体を刺激すると痛みの伝達を抑制します

つまりデクスメデトミジンは鎮痛作用もあるのです

すごい、と思われるかもしれませんが

実はこの作用が発現するにはかなりの高濃度投与が必要になります

鎮痛作用が発現するときには過鎮静になっている可能性が高く、鎮痛目的にデクスメデトミジンを使うということは実際難しいと思います

延髄にあるα2A受容体を刺激すると交感神経を抑制する働きが現れます

「鎮静薬使用で徐脈になる」これは容易に想像できるでしょう

一方で「鎮静薬使用で血圧が上昇する」これはあまり想像しにくいと思います

デクスメデトミジンは末梢血管を収縮する作用もあるのです

この作用が起こる原因はα2B受容体も刺激することによります

上図を見ていただけると分かる通り、デクスメデトミジンの血中濃度が高くなるにつれ血圧が上昇しています

ここまで話をすると、1つの薬剤が全く逆の作用が起こすことになり、実際どうなのと嘆いてしまう方もいると思います

これも調べられています

添付文書に書かれている通りに初期負荷投与を行なった場合、

まずは血圧上昇が先に現れ、その後徐々に血圧が低下してくるそうです

これは末梢血管作用のピークが3分後、中枢作用のピークが15分以内という時間差が根拠となります

ではこの薬剤を初期負荷投与をせずに開始するとどうなるのでしょうか

上の図をご覧ください

初期負荷投与をせずに開始をした場合、効果部位濃度に達するまで2時間以上かかることがわかります

もちろん循環変動を最小限にしたいとなれば、初期負荷投与を行わないという選択肢もありかと思います

その場合はこの時間を考慮した上で使用するようにしましょう

使用方法

では実際、私がどのように使用しているかをお話ししたいと思います

添付文書をもう1度上記にお示しします

この文書を噛み砕いて解釈すると、「初期負荷投与を維持量の15倍量で10分間投与する」となります

この通り投与すると、特に初期投与中は血行動態管理に苦労します

そこで私は、

血行動態を少しマイルドにできて、さらに覚えやすく噛み砕いてみました

「体重/10 mL/hrを維持投与量とし、その10倍量を15分間初期負荷として投与する」

50kgの人であれば、

初期負荷50 mL/hrで15分間、維持5mL/hrで開始する

といった具合です

ご参考にしていただければと思います

おまけ

α2受容体刺激薬はデクスメデトミジンが脚光を浴びる以前にもありました

『クロニジン』です

『カタプレス®︎』という商品名のクロニジンはマイナーな降圧薬として存在していました

そしてこの降圧薬には有名な副作用がありました

それが「眠気」です

これを麻酔領域で取り上げられるようになり、前投薬としても使用されα2受容体刺激薬がどんどん研究されるようになったようです

今回の参考資料はこちら↓↓

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