皆さん、術前診察はしっかりできていますか
麻酔科医になってからというもの、毎日毎日麻酔をかけまくり正直そこまで手が回りません、とか
施設によっては術前診察は上級医の先生が行うため自分でやったことありませんという人もいると思います
そんな麻酔科1年生の皆さんに、少しでだけでもポイントを紹介できればと思います
麻酔プランを計画する
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術前診察では麻酔プランをつくるために以下の3つが重要です
・ 情報収集
・ 身体所見
・ 検査結果
これらをもとに麻酔プランを計画して、それをもとに患者に合併症を説明し同意を得るのです
情報収集
それではまず1つ目、情報収集についてお話しします
患者に聞くポイントですね
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既往歴・手術歴・家族歴
主治医の先生方も忘れずに聞いてくれている項目であり、私たち麻酔科にとっても重要な情報です
過去の麻酔で患者が辛かったことや疑問点を洗い出しておきましょう
アレルギー
アレルギーについてはどうですか
食物アレルギー等は病棟でも聴取できていることが多いと思います
僕らにとって重要なことは麻酔中に起こってしまうアナフィラキシーの情報ですよね
フランスのデータではありますが、筋弛緩薬が圧倒的に多いですね
日本ではまだ調査途中で n 数が少ないデータではありますが、同じような傾向にあります
日本はスガマデクスを世界中で最も使用しています
それだけに要注意ですね
ワクチン歴
こちらは小児の予防接種を生ワクチンと不活化ワクチンに区分しています
研究しづらい内容であり、学会から発表されているガイドラインはありませんが、
免疫力や副反応の経過から、予防接種から手術までのおおよその待機期間は決められています
未だ終息の兆しを見せないCOVID-19のワクチンについては、各方面で上記のような見解を発表しています
服薬歴
内服歴は十分に聴取できていますか
薬剤手帳を持参していただければ漏れなく把握できるのですが、なかなか…ね
そして手術に向けて中止しなければいけない薬剤、継続必須の薬剤等さまざまです
ここでは全ては語れないので、比較的最近のトピックスを掲載します
まずは糖尿病薬についてです
最近ではチアゾリジン薬やDPP-4阻害薬といった周術期の継続投与OKとなったものもあります
反対にアシドーシスの発生報告が出てきて、中止時期を早めるよう注意喚起されている薬剤もあります
抗パーキンソン病薬については皆さんの病院ではどのように扱われていますか
当院では術前に神経内科にコンサルトすると最近、MAOB阻害薬も内服継続されるようになってきました
パーキンソン病の症状増悪も術後管理が大変ではありますからね
麻酔科としてはセロトニン症候群には気をつけておきましょう
ホルモン剤ってこんなにたくさんあるって知ってましたか
私、知りませんでした…しかも中止のものから継続のものまであり正直覚えられません
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大丈夫です
いざというときにこの表を見返してみればいいのです
喫煙
喫煙情報については必ず聞いておきましょう
そして喫煙していれば、その場でやめてもらいましょう
上記の通り手術直前でも効果はあるのです(最低赤字の期間を空ければ、機能改善する)
患者自身のため、そして私たちが少しでも麻酔しやすいように
生活活動能
そしてコレも使えます
患者がどのくらいの生活活動能力があるかを数値化して評価するのです
全身麻酔を十分に耐えうる能力は4メッツ以上と言われています
ぜひ患者に質問してみてください
身体所見
2つ目は身体所見です
身体所見で大事なものといえば気道評価ですよね
とっても大事なので気道評価については次のテーマで書いてみたいと思います
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検査結果
最後の3つ目は検査結果についてお話しします
まず我々麻酔科医はなぜ検査をしてもらうのでしょうか
そんなの当たり前、患者を把握するためですよね
麻酔科にとっては当たり前なんですけど
でもこれって、
他の科とは真逆の考え方なんですよ
ふつう検査というのは病気をみつけるために行うものなんです
しかし私たちは病気がないことを確認するために行ってもらってるんです
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麻酔科は麻酔を問題なくかけることができるかを検査結果から判断し、もし問題があればそれをふまえて麻酔プランをたてて、患者に説明しなければならないのです
これは患者のためではあるんですが、と同時に自分たちのためでもあるのです
万が一合併症が起こった時、事前にこれが想定できていれば対応がスムーズにできます
また、患者や患者家族間とのトラブルを回避するためにも必要なのです
では病気がないという前提でどんな検査をすれば良いのでしょうか
皆さんの病院で必ず行なっている検査は何ですか
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2012年のAnesthesiology 誌で
“ルーチン検査とはなにか”
ということに言及しています
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結論は 「存在しない」 だそうです
えー、採血もいらないんですか
なんて声が聞こえてきそうです
ここで言いたいのは “検査が必要ない” ではありません
“ルーチンの検査が必要ない” というです
例えば、血液検査
侵襲を伴います、子供には酷ですよね
元気な子で、出血することが限りなく低い手術予定
わざわざやらなくていいのでは、ということです
12誘導心電図はどうでしょう
低侵襲ではありますが、症状、既往に何もない30歳の青年に必ずしも必要でしょうか
こちらは万が一術中に心電図変化ぎ起きた時のコントロール用として必要である、と考えられるかもしれません
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患者によって必要なものだけを、麻酔科医が判断して行うことが大事だということです
しかし病院という大きな組織で働いている皆さんにとって、
ルーチンをつくることはミスを減らし、円滑に働くためには必要不可欠なことであることは間違いないですよね
麻酔自体をルーチン化するような麻酔科医にだけはならないよう、うまく使い分けを行なっていきましょう
いかがでしたでしょうか
麻酔プランをつくるために必要な術前診察を
3つのポイントに分けてまとめてみました(今回は2つしか話していませんが)
ぜひご参考にしていただければと思います
おまけ
これだけ自分で考えながら麻酔プランを計画できるのは定時手術ならでは、です
緊急手術のときは、最低限の情報を速やかに得る必要があります
そんなときに役立つのが “AMPLE“ です
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急ぎの際はこれだけでも聞いておけば、麻酔プランをたてられると思います
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